患者さん・利用者さんとご家族に対する敬称を「様」から「さん」へ変更いたします。
医療法人一祐会では1996年頃から、特に藤本病院において、患者さん・利用者さんとその家族と接するときのやりとりや、広報媒体等において、敬称を「様」にしてまいりました。
その当時、「医療はサービス業である。よって、百貨店やホテル等と同じく、消費者に対して接するときは『患者様』『利用者様』と敬称をつけるべき」という考え方が広がったことや、「患者様」と話すことで、それに続く話ことばが、正しい敬語になるという効果を狙った考え方もありました。
しかし、高齢化が進み、藤本病院グループの患者さん、利用者さん、ご家族の平均年齢も上がり、敬称に対する受け手の感覚が変わってきました。
「患者様」「利用者様」とお呼びすることがクレームを生む場面が出てきました。長く通院される患者から「よそよそしい」「杓子定規なマニュアル言葉のようだ」「冷たい感じがする」という指摘が出始めました。なかには「馬鹿にされているようだ」と感じる人もいました。実際、患者敬称の使い方について、91%の人が「氏名 + さんで呼んでほしい」と回答している調査研究もあります(※)。
また、「患者様」と表現することは、大きく解釈すると「お客様」と「商人」の関係であり、「医療は非営利」とする現行法の精神に反することや、偏った見方をすれば、病気を「商品」として扱い、患者からお金を取っている構図が鮮明となり、対等ではない関係性を作ってしまっている可能性があります。
「様」を使うことで、一部の方の「誤った権利意識」「過剰なお客様意識」を助長し、診療に影響を及ぼす残念な事例も生じています。
一祐会は2018年、新たな基本理念として「ありがとう おかげさま 嬉しい縁を 医療でつなぐ」を制定しました。この言葉を前にしたとき、患者さんと医療者、利用者さんと介護者は、「病気を前にともに闘う同士」として、相互に対等な存在であると考えています。
以上を踏まえ、藤本病院グループとしての統一した基準を下記のように制定します。
ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
(※) 『「~さま」と「~さん」:患者敬称の使い方についての患者医師双方への調査研究』 プライマリ・ケアVol.31 No.1 20-25,2008.3
①「患者様」という呼称は、「患者さん」に統一します。 ▼「利用者様」は「利用者さん」に統一します。 ▼「ご家族様」は「ご家族」もしくは「ご家族の方」に統一します。 |
②「患者の皆さま」を「患者の皆さん」へ統一します。 ▼「利用者の皆さま」は「利用者の皆さん」に統一します。 |
③文書上で個人名を表記する際の敬称については、特に制限をもうけません。 (文書、申請書、カルテ、患者宛封筒の宛名、診療情報提供書、個人へのメール返信等は社会常識に照らし合わせ「様」を使用します) |
④院内掲示物、看板やサインシステム、ホームページ、広報誌(紙)、パンフレット、一般向け文書等の表記は「患者さん」に統一し、順次、更新してまいります。 |