鼠径ヘルニア(脱腸)
鼠径(そけい)ヘルニアや大腿ヘルニアは足の付け根のあたりが膨らむ病気です。
腹壁に隙間ができるためで、ここから腸などの腹腔内容が脱出します。
腸がひっかかり戻らなくなると腸管壊死をきたし腹膜炎になることがありますので手術で閉じる必要があります。
藤本病院では腹腔鏡下手術で根治治療(TAPPまたはTEP)を行っています。
従来の手術法との比較
- 術後疼痛、神経痛が少ない。
- 両側のヘルニアも同じ傷から治療できる。
- 混合型ヘルニアの見落としがない。
鼠径ヘルニアの内容と手術方法
鼠径部が膨隆します。大きなものでは陰嚢まで膨隆します。
通常戻すことができますが、還納できなければ嵌頓を疑い、早急な対応が必要です。
鼠径ヘルニアの治療
原則手術治療です。ヘルニアバンドなどは根本治療とはならず嵌頓の危険もあり推奨できません。ヘルニア門の縫縮などが行われる場合もありますが、成人ではメッシュを用いた修復法が一般的です。
メッシュ法は、前方アプローチと後方アプローチに分けられます。
前方アプローチの代表はメッシュプラグ法で本邦では最も行われている術式です。
後方アプローチの代表はKugel法、腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP、TEP)があります。
当院は後方アプローチ(特に腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術)にこだわります。
前方アプローチでは鼠径管を開放してメッシュを挿入留置するため、ときに神経痛を生じることがあります。
後方アプローチでは神経にさわることがほとんどないなど多くの利点があります。
後方アプローチの利点
- 鼠径管を開放しないため神経痛を生じにくい。
- ヘルニア門を内側から覆うため理にかなっている。
- さらに腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術では同じ創から両側治療ができる。
- メッシュ感染が非常に少ない。
- 早期の創痛も少ない。
- ヘルニアの診断能が高い。(見落としが少ない。)
- 嵌頓症例で腸管壊死の診断ができる。